【D&SとSM】のこと

◆ドミナント男性の視点「支配の本質」

支配についてTwitterにつぶやいたら何投稿か書いてしまい、これって結構大事かも?と思ったのでここで改めてまとめ記事。
支配of支配がどんなものか本質目線で書いてみようと思う。
タイプはさまざまな支配があるとしても、本質的に支配という物事が何でどうなのかってこと。
ドミナントとしてサブミッシブを・・・・異性を支配することと、組織や集団の支配は違うのでそこのろことろ・・・・よろしく。

目次

■状態支配と精神支配

ざっくり分けてこの2つがある。
状態の支配は外側の物事。実際の生活とかセックスで支配・被支配の関係。
精神の支配は内側の物事。精神とか心理、マインドの支配・被支配の関係。

両方が支配する上ではベストだけど、僕は個人的に後者の方が重要度が高いと思ってる。

例えば、従属関係が成り立っていてサブ・マゾ側はいつもお仕えするという態度を行儀良く取るとする。
でも、心の中では「気持ちいいからやっているだけだもんね」と思っているかもしれない。または、行為中は(プレイや性癖の一環として)その関係をするけど、普段はそうしないのなら「状態」も「精神」も趣味でそうしているだけ。
これは状態の支配はあるけど精神の支配が弱い。

逆に心からお仕えして忠誠心を持っているとしても、現状ご主人様には家庭があってあまり会えないという人もいる。
こっちは精神の支配はあるけど状態の支配は弱い。

極端だけど説明のための2つのケース。

でもはっきり言えるのは、真性のドミナント・サブミッシブは両方を求めている。なぜそう言えるかというと、状態も精神の両方の完全支配が100%の支配・被支配になるから。
(余談だけど加虐被虐のSMはそうはならない。行為のとき中心になる)

■精神支配の状態、の種類

「精神支配」と「洗脳」と「マインドコントロール」は違う。

精神を完全に支配するためには「相手の理解」「支配方法の実践」の上手なマッチングが必要。
両方できると支配・被支配の関係は何の疑問も抱かずナチュラルな支配状態になる。
今自分は支配してる(されてる)ぞ!・・・・みたいにはならない。完全完璧に『普通』になる。でもあまりにもナチュラルで普通だと性的に萌えないかもしれないので、わざと性癖を刺激する部分は完璧にしない、ということもある。

そうではなくて、私たち「支配する(される)がすごくできてるよね」みたいなのがその一段下になる。これを『実感』できるのが洗脳。
洗脳は精神の方向性を支配の方向に誘導する。例えば三つ指ついて「お帰りなさいませ」という動作を繰り返させることで、DもSも支配・被支配を「感じる」ことができるので満足するというような感じ。
僕は言葉を使わせて何度も被支配的、被虐的なことを言わせることが好み。サブが自分の頭で考えてシチュエーションに合った言葉を言えるようになるとかなり支配性が増すし、洗脳が上手くできている。
ただ、洗脳が上手にできるようになると物足りなさが出てきたりする。洗脳はあくまで『実感』つまり感じることがベースにあるので、感じられること以外では支配を実感できないから。洗脳はあくまで限定的な精神支配。全てを捧げる(のが当たり前)の完全支配ではない。

マインドコントロールはもっと短期で強めの力をかける特徴がある。
それこそプレーのときに土下座を強要されて顔を踏まれる。踏まれているとき同時に、支配・被支配を感じさせられることで気持ち良くなる。→踏まれると気持ちいいという『習慣づけ』をする、みたいなこと。
性に関係することばかりではなく、例えばご主人様が自分で選んだ高級ホテルに連れて行ってくれ、ルームサービスでとても美味しい料理とお酒を振舞ってくれたとして、ありがたい、嬉しい、こんな雰囲気でトロけそう、と誘導する・されるのもマインドコントロール。
支配からは遠く心理術心理誘導によるものが多い。
支配そのものから考えると浅いやり方だけど、痛いことや恥ずかしいことを気持ちいいことに変えたり、育てたりするときに必要な方法。完全支配には性も含まれるので軽視はできない。でも支配視点だと重視するほどではない。

洗脳やマインドコントロール関係のD&Sはまだまだイマイチだと思う。
支配に至れば至るほど理解が必要で、コントロールになるほど方法的行為が必要。なので、支配の方が精神支配を伸ばしてくれ、コントロールの方が(精神支配の中では)状態支配を伸ばしてくれる。

■精神支配の方法

精神支配するのにざっくり言って2つの方法がある。
ひとつが「支配の事実」を作ること。もうひとつが「精神の介入」

支配の事実は状態支配なので、簡単なところだとご主人様が上座に座るとか、日常で手間のかかることはサブが進んでやるとかそういうことから、SEXの時のご主人様が状態支配する上で好ましいと思うルールを作ることまでいろいろ。
言葉遣いや動作に関することもそうだし、コミュニケーションとか普段の過ごし方なども。

ご主人様の都合のいいときだけ呼び出しに応じて会うことができる、というような関係もあると思う。これもひとつの状態支配。いつも裸で首輪とかも同じ。
状態支配は情報もたくさんあるし、体験談とか他の人のケースを知る機会もあるのでわかりやすい。

精神支配にはこれも乱暴に分けると2つの方法があって、ひとつは「理解をベース」にすること。もうひとつが「一致をベース」にすること。

理解ベースというのは、ドミナントもサブミッシブもお互い相手がどんな人間かということを理解すること。ただ従っていればいいとか、ただ服従していればいいというのは理解がない(浅い)。精神支配としては質が低い。
なぜかというと、もしそれでいいなら強く支配してくれるご主人様、必ず跪いてYESを言う奴隷なら「誰でもいい」ということになる。そういう欲を満たすだけでいいなら、それは強めの性関係であって、支配関係じゃない。
相手の性質を理解して支配したい(されたい)と思えることが精神支配には重要。となると、相手を理解する力が必要になる。

ドム側はサブがどう支配されるのが喜びかを見極める力が必要だし、自分の欲をどう通せるのか相手を理解して手立てを打つ必要がある。
サブ側はご主人様がどのような支配を、なぜ望んでいるのか、そのためにはどうすればいいのかを理解できる頭が必要で、しかも自分も満足できる支配をしていただく必要がある。

特にサブが間違うのが理解ではなく「受け入れ」をしてしまうこと。受け入れは手早くご主人様の満足を刺激するけど、関係が続くほどご主人様からすると「本当のところ理解されているわけではない」ことが明らかになるので、いい支配関係にならない。
サブの資質として受け入れは必須だとしても、理解のない従属はご主人様のいい支配を邪魔することになる。結果いいサブにはなれない。

一致ベースは「愛」のこと。良い支配・被支配と、良い愛は同じではない。良い愛のためには一致が必須。愛が不十分な支配は、良い支配であってもいつかは破綻する関係。
「いやいや、愛がないのに支配したい・されたいはないでしょ」と思うかもしれない。だから「ない」とは言ってない。「不十分」な関係。どんな男女の関係でも愛はある。でも不十分だから結びつきが弱い。たとえ別れなくても。そういう同士は簡単に相手を諦める。諦めた上で一緒にいる。
自分の愛には個性があり、その愛は自分の中で「絶対こうでなくてはならない」と決まっている。でもそれをわかっている人は少なく、追求している人はさらに少ない。
ひとつ前の記事でその辺りを書いたので読んでみてほしい。あとは「愛」の記事だけまとめたテーマをぜひ。

https://dominantyas.com/2022/08/17/%e2%97%8f%e3%83%89%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%b3%e3%83%88%e7%94%b7%e6%80%a7%e3%81%ae%e8%a6%96%e7%82%b9%e3%80%8c%e6%84%9b%e3%81%ae%e6%9c%ac%e8%b3%aa%e3%82%92%e8%80%83%e3%81%88%e3%82%8b%e3%80%8d/

支配・被支配は愛の一部であってその逆(愛は支配・被支配の一部)ではない。
愛が上位にある。愛の関係がしっかり作られているからこそ精神支配が「可能」になるのであって、愛が不十分だけどDとSの性質だから精神的にも支配してみよう(されてみよう)なんてことにはならない。
愛の一致は、支配の関係(精神支配・状態支配)の上位にある。支配が直接関係しないお互いのことを含めた全て。一致していればしているほど精神支配が可能になり、一致が不十分なら精神支配は中途半端になる。

■受け入れと共感では精神支配(被支配)できない

受け入れは理解を阻害するので精神支配を十分なものにしないと書いた。
受け入れと理解の関係はここにも書いているのでどうぞ。

https://dominantyas.com/2022/08/15/%e2%97%8f%e3%80%8c%e5%8f%97%e3%81%91%e5%85%a5%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%81%93%e3%81%a8%e3%80%8d%e3%81%a8%e3%80%8c%e7%90%86%e8%a7%a3%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%93%e3%81%a8%e3%80%8d/

受け入れを理解と勘違いさせるものが「共感」。同じ気持ちになることが共感。同じ気持ち度合いが100%に近いほど共感度も高い。
感覚に優れている人がいる。特に共感に優れている人がいて、相手の感情や感覚を自分のことのように自分の中に再現することができる。
でもそれは万能じゃない。得意な共感ジャンルがあって、あまり共感が働かない分野がある。自分の強い性質が出るところに共感は働きにくい。例えば鞭打たれることが喜びのMは、打つことでMの被虐的な姿を見て興奮するというSの感覚を共有できない(でも理解はできる。理解しようとすることもできる)。どこまでも打たれて気持ちいいのであって、打つことの気持ちよさを感覚できない。

共感すると理解した気分になる。なれる。
でもそれは理解ではない。感覚共有でしかない。感覚を共有しても「この人はなぜこんなときにそう感じるのか」という背景の理由に至らない。背景にある理由、考え、性質を共感で知ることはできない。理解するしかない。理解のためには話を聞いたり、よく観察したり、察して想像したり、気配を読んだり、想定して実践してみたり、つまり理解のための行為をする必要がある。共感はこの行為に当てはまらない。

ただし「愛の一致」「一致をベースにする支配」には共感が必要。共感できない方が一致できるということはない。共感度が大きい方が一致率も高い。
だから精神支配のために必要なことと愛の一致のために必要なことを分けて考える必要がある。

■決めつけること

どんな種類の支配にも必ず決めつけがある。決めつけのない支配はない
D&Sの関係を成り立たせるためには、お互いにとって「この決めつけがあればスムーズ」「この決めつけがお互いを強く結びつける」というものが必要。

ノーマルの関係でも決めつけは必ずある。そしてどの関係においてもどちらか、またはお互いがかなり納得のできない決めつけがある場合、関係はたちまち難しくなる。
普通はそれでも物事が上手く立ち回るからとか、今までそうしてきたからとか、妥協すればなんとかなるので我慢しながら続けることが多い。
でも支配が全ての基本にあるDとSの関係で「下手な決めつけ」は致命的になる。

状態の決めつけは初期段階でコンセンサスが取りやすい。帰宅したら三つ指でお帰りなさいませなどと行為を決めつける場合、お互い心のうちにこういう支配をしたい・されたいがあるので比較的スムーズに決まる。またサブの方が受け入れ度が高いため、ご主人様の意向に従うことでスムーズに決まる。
お互いの一致しているところがスムーズに決まったら、もう少し一致しないところ、もう少しスムーズじゃないところを話し合うなり、試してみるなり、新しい方法を一緒に考えるなりして決めつける。決めつけたらその通りにする。上手くいくこともあれば、上手くいかないこともある。上手くいかなければ別の方法に代えたり、少しやり方をいじってみたりする。
つまり、状態支配はフレキシブルに変化する余地があるし、そうした方が上手くいく。しかし精神支配はそうはいかない。

精神支配には理解と一致が必要だった。理解は相手はこういう人なんだとか、こんなふうに考えるからこうするのだということを知っているということ。少なくとも知ろうとする態度をやめないこと。一致は「一致している」という事実のこと。だからフレキシブルに変化する余地はない
相手は精神的にこうだと決まりきっていることを扱うので、精神支配は決めつけることだけで成り立つ。理解を深めれば深めるほど、一致率を高めれば高めるほど、相手に対する正当な決めつけは「増える一方」になる。これはいい支配関係の基礎になる。

でも人間なので、実際にはそうかもしれないけど心情的にそうだとは思いたくないってこともある。
例えば暴力的な支配に性的興奮を覚えるし積極的にそうするけど、実は思いやり深く共感性も高いご主人様だという場合。何に興奮するかと、実は思いやり深いことと、どちらも決めつけられることだけど、サブから前者を指摘されると肯定しやすく、後者を指摘されると(状況にもよるけど)そうは思いたくない嫌な感じがすることがある。ならその決めつけは胸の内で「理解している」に留めた方がいい。
逆にサブにお漏らしをすると強い被虐心で脳が真っ白になるという性癖があるとして、でもそれは子供の頃辛い思いをした「やってはいけないこと」という抵抗がある。ならご主人様がその性癖と抵抗を同時に指摘し続ける(「大人なのにお漏らしするなんてダメな子だ」etc.)ことで決めつけて精神支配の要素にする。

口に出すか出さないか、自分の行動をどのようなものにするか、相手への理解をベースにするのが精神支配の関係に必要なこと。
一般的なノーマルでも例えば「地雷を踏まない」ように覚えておく、というようなことは必要だから、その延長線上というか高みに精神支配の関係がある。

また理屈を長いこと書いてしまった。
露骨を欲望のまま書く→記事削除されてしまうのトラウマ笑があるので、ついこの際理屈っぽいこと書いてしまうとするのが原因、な気がする。

ワードプレスができたら早くエロのことを書きたい。

ABOUT ME
ヤス@ドミナント男性の視点
73年生まれ。事業家。 S性も強めのドミナントです。ヨーロッパにいることが多め。広い空と空間、音のない場所に居心地の良さを感じます。タバコが嫌い、寿司が好き。